イノベーションの国、アメリカ

最終更新: 5月8日

RSA CONFERENCE 2013レポート第7弾。恐らくこれで最後。


 最後のキーノートはライス元国務長官。12年前、同時多発テロが発生した時の対応について、最初は事故と考えていたが、2機目が突入して事件だとわかり、すぐにブッシュ大統領に連絡した、といった当時の状況が紹介された。

 米国では、「防衛」は外部に対して行うものという認識であり、省庁の構成もそうなっていた。国内にいるテロリストに対抗する省庁が無かったので、Department of Homeland Securityを創設することとなった。

 サイバーアタックはボーダーレスである。New York Timesも中国から攻撃を受けている。こういった攻撃が中国から来ていることをどう考えるか。中国という国はreputationが悪くなることを何とも思っていないのか。


 19世紀は、石油や鉱物が最も高い価値を持つ時代であった。20世紀は産業が高い価値を持った。21世紀は、イノベーションが最も高い価値を持つ時代である。アメリカは、そのイノベーションを生み出す国であろうとしている。


 国務長官である間、様々な問題に対応してきた。問題が発生したときにリーダーに求められることは、以下の3つである。

 ・Some kind of optimism (少々の楽観性)

 ・Express dedication to resolve the problem (その問題解決に全力を尽くす気持ちを表明する)

 ・Lead everyone to solve (問題解決のためにみんなをリードする)


 会場からの「大統領になる気は無いのか」という質問に対しては、今のまま大学教授を続けたい、と答えていた。未来のアメリカを支えていく学生を教えることに喜びを感じている、ということであった。


 今回、ほうぼうで中国からのサイバー攻撃を指摘しているセッションがあった。会場を見回すと、今年は中国人の参加者も多く見られ、そのためか、直前でセッション名から「China」を外したケースも見受けられた。一方、Rice元国務長官は、中国を名指しで批判していた。今後、この状態は改善するのだろうか、それとも悪化の一途をたどるのか。


 さて、これで今回の一連のRSA CONFERENCEレポートは一旦終了としたい。ここからはおまけ。

 CONFERENCEの始まる前、空き時間があったので、レンタカーを借りてサンノゼへ。San Francisco市内からは1時間程度。AppleやGoogleの本社がある、いわゆる「シリコンバレー」。Apple本社やStanford大学に寄ったりしてみた。

 その後サンフランシスコの街で感じたのは、SNSと実店舗の連携が進んでいるんだな、ということ。そのSNSとしてfacebookが活用されている。例えば、一人でUNIQLOに洋服を買いに来た人が、写真をその場で撮影してfacebookにupload。友達が「似合う」と言ってくれたら購買につながる。そんなシステムが動いている。TARGETに行けば、そこでUploadした写真をすぐ印刷できる(実際には、機械が故障していて印刷できなかったが...(笑))。


 RSA CONFERENCEのEXPO会場では、日本ではなかなかお目にかかれない場面を見ることができる。スターウォーズのコスプレや、展示ブースでビールを配っているなど...。今年はやはり標的型攻撃対策を謳った製品が数多く展示されていた。

いまどきはWebでだいたいの情報は入手できるように思えるけど、実際のところ、製品に関する情報はセールストークが並べられているばかりで、「できること」は誇張して書かれている上に、「できないこと」は黙って隠している。その点、直接エンジニアと会話できれば、エンジニアは正直なので、できないことは「できない」と教えてくれる。そういった意味では展示会も意味があると思うのだが、日本ではだんだんすたれる傾向にありますな。

 初日のReceptionもここで行われるので、ブースの説明員も、参加者も、みんなお酒を飲みながら楽しく会話。


 そして、RSA CONFERENCE恒例のパーティー。今年はSan FranciscoのCity Hall(市役所)を使って開催された。これまでにも、Academy of Sciencesという博物館や、San Joseのアイスホッケースタジアムで開催されたことがある。去年は会場近くのMarriottホテルだった。この、マリリンモンローが結婚式を挙げたというSan Francisco City Hallをすべて使い、ゲームあり、ダンスあり、ショーありのパーティーが繰り広げられた。

 日本のカンファレンスでは、まずもってこういったパーティーは開かれないし、参加費が10万円を超えるようなカンファレンスは、日本では成功しないだろう。カンファレンスの内容も、日本では発表者が当たり障りの無いことしかしゃべらず、面白くないことが多い。2002年から開催されてきたRSA Conference Japanも、2010年を最後に2011年、2012年は開催されていないようだ。


 これは小熊の想像であるが、米国では、転職してステップアップしていくのが当然であるため、自らのスキルを向上させる意欲が高く、カンファレンスに行かせてくれないような会社には就職しないのではないだろうか。また、カンファレンスは自分のスキルをアピールする好機でもあるため、積極的に自分の持っている情報を公開し、うまくすればそこでヘッドハントされたい、と考えているのではないか。そしてそこに、楽しいパーティーまであるとしたら...。


 このパーティーでセキュリティ会社のビジネス開発担当者と仲良くなり、その後別の店で酒を飲みながら話をした。彼の両親はインド人で、彼が生まれたのはベネズエラ、今はアメリカに住んで市民権を取得しており、そのせいでパスポートを3つ持っているそうだ。彼はセキュリティ会社を立ち上げ、その後今の会社がその会社を買ったということで、去年はバケーションを取って世界中を回っていたらしい。恐らく、彼にとってアメリカとは、自分のビジネスを成功させる「場」に過ぎないのだろう。日本ではなかなかこんな人に出会うことはできない。こういった環境こそがイノベーションを生み出すのだろうな、と思う。

 21世紀、イノベーションが最も価値を持つのであれば、それを生み出す仕組みや、それを活用できる国民性を兼ね備えているアメリカは、21世紀も世界をリードする国であり続けるのだろう。しかし、日本も、もうちょっと変われないもんかなぁ...。


小熊